【いまさら聞けない?】ハイブリッドカーとガソリン車の違い

こんにちはPOP CARSです。

一気に猛暑日がやってきましたね。

我が家はすでにエアコンフル稼働です。これから数か月間は家でも車でもエアコンを多用する季節になってくるので、電気代やガソリン代の上昇による家計の圧迫は、物価高の影響もありかなり深刻です。

家計の固定費圧縮のため、保険やスマホ代を見直したりする中で、日々のガソリン代を圧縮するためにハイブリッドカーへの買替えを検討している方も多いと思います。

そんな今日はハイブリッドカーについて書きます。

先日、車の購入を検討する知人から「ハイブリッドカーって高いし、納期も長いしガソリン車とそんなに違うの?ハイブリッドカーって結局何なの?」という疑問を投げかけられました。

たしかに、どこのメーカーを見てもハイブリッド仕様とガソリン仕様が選べる場合、ハイブリッドモデルは燃費は良いけど価格が高く、納期も長くなっている傾向があります。そのせいで中古車の価格高騰、高額転売や車両盗難が相次ぐ始末ですが、そもそもハイブリッドカーってなんだったっけ?ガソリン車との差は燃費だけなの?という疑問を家計にやさしいかどうかという観点で解説していきたいと思います。

実は私も13年目を迎えたトヨタハイブリッドカーのユーザーでもあるので、今回は私が感じているハイブリッドカーのメリット、デメリット。また、自動車エンジニアとしてハイブリッドカーを検討する皆さんに伝えたいことをいろいろとお伝えできたらと思います。

結論「ハイブリッドカーは必ずしも家計の最適解とはならない」

結論から言うと、ハイブリッドカーは必ずしも家計にとって最適解とはならない。ということです。

ハイブリッドカーの価格差は思っている以上に大きく、ご家庭によってはむしろ家計の負担感が増大し、満足度が大きく下がってしまう可能性があります。

このあとにも出てきますが、新車を一括購入した場合、ハイブリッドモデルは純ガソリン車に比べて30~40万高くなることもあります。「ハイブリッドカーは燃費がいいから家計にも優しくて、純ガソリン車よりも環境に優しくて、営業マンも「リセールがいいからお得ですよ」と言っていた。」という方もいるかもしれませんが、実際にはもう少し複雑です。

それはハイブリッドモデルと、純ガソリンモデルを新車で購入し、5年、10年乗り続けた場合の差額をしっかり把握した上で、ご自身やご家庭の車の使い方や、車に求める価値を加味して判断していただく必要があるからです。

また、自動車は耐久消費財なので、将来の中古車買い取り価格に期待して投資のように購入するべきものではありません。将来の中古車市場の相場なんて誰にも分らないですし、日常遣いの車を5年間、10年間と事故もなく、傷もつかず状態がいいまま乗っていられる確率は決して高くないからです。

特に近年の異常気象で雹害を受けてしまった車は、補修が難しいルーフパネルやボディ全面に小さなくぼみが大量についてしまう為、査定に大きく影響します。水害により水没した場合は車両火災の危険性や走行不能になってしまう可能性も高いため、廃車になることが大半です。

車が趣味という人でなければ、車はあくまで「移動するための道具」として考えるほうがいいでしょう。実は年間の支出を抑えるために新車のハイブリッドカーを選ぶのは誰しもにとっていい選択ではないのです。

では、そのわけを少しずつ説明します。

そもそもハイブリッドカーってなに?

かなり平たく言うと、所謂ハイブリッドカーとは電気自動車とエンジン車を合体させた車です。

1台の車の中に燃料を燃やして動くエンジンと、電気の力で動くモーターがあり、それらを上手く連携させながら走行しています。

悪いに着目すると、純ガソリン車よりも機械が複雑になる分だけ部品点数が増加し車両価格は上昇してしまいます。

一方、良い面に着目すると、電気自動車の特性と純ガソリン車と同じく給油して走る使い勝手の良さを持っているという意味では、両者のいい所取りの車だとも言えるかと思います。

また、ハイブリッドカーの中には、トヨタの「シリーズパラレルハイブリッドシステム」のように、エンジンとモーターの両方で走行するものや、日産「e-POWER」のようにエンジンは発電のみを行い、モーターのみでタイヤを駆動するタイプも増えてきました。ホンダのe:HEVや、ダイハツeSMARTハイブリッドも後者のタイプです。

このようにハイブリッドカーといっても各社様々な特徴を持っているため、新車を買わないとしても検討しているモデルがどのような特徴があるのかはよく調べておく必要があります。

ハイブリッドカーの特徴

純ガソリン車と比べたハイブリッドカー全般の最大の特徴はエンジンとモーターを使って走行する点です。

ハイブリッドカーはモーターで自動車の走行を補助したり、モーター単体で走行することで、ガソリンエンジンの稼働時間を減らし、高効率領域に絞ってエンジンを稼働させることができるので、ガソリン消費量を減少させることができます。

また、モーターの特性として回転トルクが瞬時に立ち上がることで、純ガソリン車よりもハイパワーになったように感じることができます。また、非常に静かに力強く加速するため、軽やコンパクトカーのような小さい車であっても車格が上がったかのような上質感のある乗り味を得ることができます。

特に車体が重く燃費が悪くなりやすいSUVやミニバンなども、ハイブリッドを採用することで軽快に走行することができ、ガソリン車と比べるとモタツキ感を感じにくいため、ドライバーの運転への負担が小さくなり、運転が楽に感じられることが多いです。

特に、ハイブリッドカーが当たり前になった世の中では、燃費以外にもボデー形状やデザイン、またハンドリング等走りの良さも重要な要素となってきています。もしかすると、惹かれるデザインの車がたまたまハイブリッドカーだったという方も多いかと思います。

ハイブリッドカーを選ぶときは、燃費以外に価格に見合うだけの価値を見出せるかどうかが需要になります。

次は純ガソリン車とハイブリッドカーの価格差について考えていきたいと思います。

ハイブリッドカーの価格差回収は12年?

ハイブリッドカーを検討する際に気になるポイントの一つとして、純ガソリン車より高額な車両価格と、本当に燃費の良さで価格差を埋められるのか?という点が挙げられるかと思います。

結論から言うと「燃費で回収するのは難しい」です。

もし検討しているモデルがハイブリッド仕様しかラインナップされていない。もしくはハイブリッドであること以外に購入理由を見つけている場合は迷う必要はないと思いますが、「なんとなくハイブリッドのほうがいいんじゃない?」と考えている方は、ぜひともこの記事を読んで、本当に高額なハイブリッドカーにお金を使ってしまってもいいのか改めて判断してもらえると嬉しいです。

一般的にハイブリッドカーはモーターやバッテリなど高価な精密部品や希少金属(レアメタル)を多く必要とするため、車体価格が純ガソリン車に比べて高くなる傾向があります。

また、中古車市場でも同格のガソリン車よりも車体価格が高くなる傾向があるため、購入時には自動車の使用頻度(年間の走行距離)などを元に、車体価格の差を埋めることができるのか?をよくシミュレーションする必要があります。

考え方として「ガソリン代の差で埋められない金額分を出してでも、ハイブリッドモデルのほうがいい」と考えることができるのであれば、ハイブリッドモデルを買っても満足できると思います。

では、実際のところハイブリッドカーと純ガソリン車をそれぞれ新車で購入すると、どれくらいの差額があるのかを見ていきましょう。

今回はガソリン仕様とハイブリッド仕様を選ぶことができるコンパクトハッチバックの「トヨタ・ヤリス」で比較をしてみます。

トヨタ ヤリス | トヨタ自動車WEBサイト

以下はトヨタ・ヤリスのハイブリッド仕様とガソリン仕様(1.5L と 1.0L)の3モデルの比較です。装備類の条件を合わせるため、中間グレードの”G”グレード同士で比較します。

最も安価な1.0Lエンジンを搭載したモデルとの価格差は約50万円、排気量の大きなガソリン1.5Lモデルでは約35万円の差があることが分かりました。ただし、購入時の諸費用を加味するとこの差は少し小さくなります。

購入時の価格差は以下の通りです。

様々な税制優遇策によって登録諸費用が約8万円ほど安くなっていることが分かりますが、それでも1.0Lガソリンでは約43万円、1.5Lガソリン車では約27万円と決して小さいとは言えない差額が発生しています。

次に、この差額はどれくらいの年数で埋めることができるのでしょうか?ハイブリッドモデルとガソリンモデルのガソリン代の差額を試算します。また、ハイブリッドモデルを購入した場合、何年乗れば差額を埋めることができるのかも試算してみましょう。

かなり簡易的などんぶり勘定ではありますが、国交省の審査値(カタログ掲載値)を元に、年間走行距離を1万km、ガソリン価格165円/ℓで試算すると、年間で節約できるガソリン代は1.0Lモデルと比べると約3.5万円、1.5Lモデルと比べると約3.2万円となることが分かります。

そして、購入金額の差額を埋めたいと考えた場合、8年(走行距離8万km)~12年(走行距離12万km)の歳月を要することが分かります。

もちろん年間走行距離が増えれば増えるほど、差額を埋めるのにかかる年月は短くなります。例えば年間2万キロ走る人であれば単純に4~6年で価格差を埋めることができるでしょう。4~6年であれば、少々過走行気味でも買取価格に少し期待できます。

また、自動車の価値の目安=買取価格は一般的には10年で\0になります。実際には市場の動向や人気モデルなど、値付けは多少変動するので数万~数十万程で買い取ってもらえる場合もあるかもしれませんが、とても買替費用の足しとしては頼りない金額です。ガソリン1.0L車との比較した場合でいえば、12年後のリセールなどはあまり期待できないでしょう。

そのため、車移動の仕事や趣味があり、年間2万kmくらいのペースで距離を延ばす人は、ハイブリッドカーを新車で購入しても価格差の恩恵を受けることができるユーザーと言えます。

ここまでで、ハイブリッドカーは燃費だけで検討すると、必ずしも家計に優しい選択肢にはならないということがお分かりいただけたかと思います。

今回はコンパクトカーのヤリスでの試算でしたが、もし検討されている車があるのであれば、一度計算してみてください。

ハイブリッドカーの魅力は燃費だけではない?!

ハイブリッドカーを選択するにあたっては燃費以外のメリットにも目を向け、納得したうえで購入することが重要といえます。私が個人的に感じているハイブリッドカーの魅力をご紹介します。

まず一つ目に思い浮かぶのは、「モータ駆動車ならではの走りやすさ。疲れにくさ」です。

もたつきが少ないから、街乗りや信号の多い市街地走行がラク

ハイブリッドカーは低速域の走行では優先的にモーターのみで走行しようとするようにプログラムされていることがほとんどです。その理由は、ガソリンエンジンで低速走行や信号の停車/発進を繰り返すのは非常に効率が悪く、燃費の悪化につながることも大きな要因ですが、ガソリンエンジンの特性としてアクセルを踏んでからタイヤに動力が伝わるまでに約1秒ほどの時間差を生じるため、ガソリン車ではモタつきとして感じやすくドライバーへ無意識のストレスを与え続けます。

ガソリンエンジンよりもきめ細かい制御で、滑りやすい路面での発進、加速がラク

ハイブリッドカーのモーターは電気で制御されています。特に滑りやすい路面ではスリップを検知したあと、瞬時にタイヤが滑らないようにモーターの力加減を制御してくれるので、ガソリン車ほど神経をすり減らさなくてもいつも通り発進しやすいです。

エアコン使用時のパワーダウン感が少ない

エアコンをONすると、明らかなパワーダウンや燃費の悪化を感じたことがある人も多いかと思います。その理由は、エンジンとエアコンコンプレッサー(冷気を作る機械)が機械的につながっているため、エンジンのパワーがコンプレッサーのために割かれてしまうためです。

ハイブリッドカーの場合は、構造上エンジンと機械的につながっていない「電動コンプレッサ」を採用している場合が多く、エアコン使用時でも電力不足によるモーターのパワー不足が感じにくいように制御されているので、快適に運転することができます。

ただし、消費電力が増えるとガソリンの発電量も増やす必要があり、燃費はやや低下する傾向にありますが、それでもガソリン車ほどの顕著な低下は起りにくいでしょう。

使い勝手の面ではガソリン車にはマネするのが難しいポイントがあります。

大容量バッテリを使って、屋外キャンプや停電時に電源として活用できる

ハイブリッドカーはモーターを駆動するためハイブリッドバッテリという大容量のバッテリを搭載しており、そのバッテリの電力はガソリンエンジンで充電されています。そのため、電力やガソリン量に余裕があれば、ハイブリッドシステムの電力を使って家電製品などを使うことができるAC100V1500Wのコンセントがオプションなどが用意されるようになってきました。

ちなみに、私の古いカムリハイブリッドにはオプション設定すらありませんので、今どきハイブリッドならではのうらやましい魅力的な装備です。

例えば、トヨタのハイブリッドカーでは1500wまでの給電システムをオプションに設定しており、ヤリスのようなコンパクトカーから、ミニバン、SUV、セダンなど様々な車種に展開されています。

トヨタ クルマから電気を、トヨタの給電 | トヨタ自動車WEBサイト

いかがでしょうか?ハイブリッドカーの魅力を感じる場面は人によってさまざまだと思いますが、燃費だけではないハイブリッドカーならではの魅力を感じてみてはいかがでしょうか?

本当に良いことだらけ?ハイブリッドカーのデメリットは?

ここまでは主にハイブリッドカーのポジティブな面を解説してきましたが、ここからはハイブリッドカーのデメリットを上げていきたいと思います。

車両価格が高い

先にも述べた通り、ハイブリッドカーはシンプルなガソリンモデルと比べると価格が高くなってしまいます。特に車種や装備にこだわりがなく、本当に日常的に車を使うのでなければ、あえて新車のハイブリッドカーを選ぶメリットは少ないと言えると思います。もし、どうしてもハイブリッドカーがいいのであれば、中古車や新古車を検討しましょう。

希少金属の供給が不安定になることで生産にも悪影響がでており、納期が延びやすい

直接的なデメリットではありませんが、ハイブリッドカーはハイブリッドバッテリやモーターに希少金属を多用するため、ここ最近の世界情勢によって生産に影響が出やすくなっており、純ガソリン車に比べると納車時期が伸びてしまう傾向にあるため、購入を検討する際は余裕をもって注文するようにしましょう。

特に、今乗っている車からの買い替えを検討している場合は車検切れのギリギリを狙いすぎると、世界情勢や経済状況によって予期せぬ生産停止などで納車が間に合わず、空白期間ができてしまう可能性もあるので、車検切れギリギリは狙わないようにしましょう。

修理費用が高くなりやすい

動力機構が複雑なハイブリッドシステムやバッテリを交換する場合、部品代や工賃などの修理代が高額になりやすいということもデメリットといえるでしょう。ただし、新車の場合は初期不良による故障確率はかなり少ないことや、年式が浅ければメーカー保証修理を受けることもできるため、それほどデメリットと感じることはないでしょう。特に、新古車など年式や距離の浅い中古車を購入する場合は、メーカー保障継承がされているかしっかり確認しましょう。

まとめ

  • ハイブリッドカーは純ガソリン車に比べて燃費がいいことは間違いありませんが、その価格差は非常に大きく、ガソリン代だけではその差額を埋めることができない場合があります。
  • 本当に新車でなければいけないのかよく考えたうえで、一世代前のモデルや中古車も検討の余地あり。
  • ハイブリッドカーは人気だが、部品調達の問題で生産が追い付かず納期が長くなることがある。購入時は余裕をもって検討、購入をする。特に今乗っている車が車検切れのタイミングで購入を考えている人は、車検切れギリギリを狙いすぎない。

以上、ハイブリッドカーの購入時に気を付けてほしいポイントでした。

参考になってら嬉しいです。

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