大柄だが、大味ではなくなった?!アメリカの隠れた名車
モデル概要
GMC・アカディアは、アメリカの自動車メーカーである「GMC」が販売する3列シートのクロスオーバーSUVである。初代は2007年モデルから生産、販売を開始。最新モデルは2024年にデビューした3世代目となる。

ダウンサイジングした2代目を除き、全幅は2m、全長は5mを超えておりFF用モノコックボデー構造を採用するSUVとしては最大級のサイズである。北米地域ではフルサイズクロスオーバーSUVに分類される。同じフルサイズSUVでもトラックシャシを採用する「ユーコン」に比べると車体は小さく、シティユースに重点を置いたモデルとなる。
大柄なボディではありますが、乗用車用シャシを採用することによる軽量化、低重心化により高速領域や山間部でも非常に運転しやすく、低床による乗り降りがしやすいこと、2/3列目シートを倒せば2m超の広大でフラットな荷室が現れるなど車室内の使い勝手もよく、ファミリー層向けのミニバンの延長線上としても、高級感を求める街乗りSUVユーザーにとっても魅力あるモデルとなっていました。
ここからは各世代ごとの特徴を解説していきます。
初代(2007~2017年)~トラックフレームとの決別~
【概要】2007年にGMのフルサイズCUV(crossover utility vehicles)商品群の第1弾として、GMCブランドとしては初となる前輪駆動用モノコックシャシである「ラムダプラットフォーム」を採用し、初代アカディアが発売されました。実質的にはエンボイの後継モデルとなりますが、その中身は時代の変化に合わせた全く別の車に生まれ変わっていました。

【グレード構成】グレード構成は下から「SL」「SLE」「SLT-1」「SLT-2」「Denali」となっており、2010年モデルからは最上級のDenali(デナリ)が追加されました。「デナリ」はGMCブランドモデルに設定されるラグジュアリー志向のプレミアムグレードで、トラックメーカーであるGMCモデルにふさわしい迫力やダイナミックな力強さを表現するようにメッキモールや専用エアロバンパー、ホイール、内外装デザインでドレスアップされており、非常に個性の強い仕様となっています。

シャシーやエンジンなどの基本構造を共有する兄弟モデルとして「シボレー・トラバース」「ビュイック・アンクレイブ」「サターン・アウトルック(生産終了)」などがあります。

【ボディ】従来のフルサイズSUVがトラックシャシをベースにしたボディに無骨なデザインだったことに対し、アカディアには乗用車に準ずる内外装デザインが採用され、快適なセダンのようなドライビングフィールでありながら、8名乗車が可能な広大な室内空間を確保。さらにモノコックシャシの採用により車体が軽量化され、燃費と乗り心地が向上していました。
【パワートレーン】3.6L V型6気筒 × 新開発の6速オートマチックを採用。FWDか電子制御式のAWDシステムを選択できる。
【ユーティリティ】7/8人乗り仕様のいずれでも折り畳み式の3列目シートが装備される。最上級グレードのSLT-2ではパワーバックドアや5.1chサラウンドサウンドシステム、後席用エンタテイメントを採用。最下位グレードのSLE以外はオプションでツインガラスパネルルーフも選択可能。
【アップデート】モデルライフは10年と非常に長く愛されたモデルです。2013年モデルでは内外装のデザインやパワートレーン、安全装備などが大幅にアップグレードされました。

第2世代(2017~2023)~ダウンサイジングへの挑戦~
【概要】2017年アカディアは第2世代へとモデルチェンジが施されました。第2世代ではプラットフォームも一新され、GMイプシロンシリーズの C1XX(ミドルサイズ3列SUV用)を採用。また、後ほど紹介しますが、第2世代のアカディアは「ダウンサイジング」が特徴のモデルでもあります。初代アカディアの登場から10年の間に3列シートのミドルSUV市場には多くのライバルが出現し、競争が激化していました。そんな中アカディアはGMのSUVラインナップの穴となっていた、全長5m以下のミドルクラスを強化する狙いがあったと考えられます。
先代型よりも一回り小さくすることで、より低燃費志向の顧客にも対応できるよう2.5Lの直列4気筒という小さなエンジンを標準仕様としましたが、ハイブリッド等の電動モデルが設定されないため、日韓のライバルでは燃費で劣り、米国のフォード・エクスプローラーやジープ・グランドチェロキーに対しては、顧客を満足させる個性が弱く、顧客の目が肥えたアッパーミドルクラスのSUV市場では、販売面では苦戦を強いられていました。

【対豪輸出】2世代目アカディアはゼネラルモータースのオーストラリア法人である「ホールデン」ブランドから「ホールデン・アカディア」として販売されていました。ゼネラルモータースの北米主力モデルとしては珍しく、右ハンドル仕様が開発され、北米の工場で生産しオーストラリアに輸出する力の入れようでしたが2020年にホールデンブランドが廃止され、ゼネラルモータースが豪州からの撤退を表明したことで、販売期間は2018年12月からわずか2年足らずで5,157台を販売したのみとなってしまいました。もし右ハンドルのアカディアに乗りたい人は、オーストラリアの中古車を見つけて輸入してみるのもいいかもしれないですね。

【ボディ】第2世代の最大の特徴はダウンサイジングで、3列シートのクロスオーバーSUVというコンセプトはそのままに軽量化や燃費性能、走行性能の向上をはかりました。ホイールベースが縮小されたことにより、後部ドア開口部がリアホイールハウジングに圧迫され、3列目シートへのアクセスや居住空間が不利になるなど先代モデルに比べて小型化された弊害はありますが、小型化による恩恵としてさらに乗用車らしい乗り味を手に入れました。レビューサイトでの評価を見ると、3列シートの使用頻度によりユーザーの評価が分かれるポイントだったようです。
尚「シボレー・トラバース」と「ビュイック・アンクレイブ」についてはアカディアと同じC1XXプラットフォームを採用しますが、アカディアがミッドサイズ用を採用するのに対し、シボレーとビュイックはフルサイズ用を採用したため、ボディサイズは初代同等以上となっています。

【パワートレーン】ボディが小型化されたことにより、SLT-2、Denaliの上位モデル以外は標準仕様のエンジンに直列4気筒2.5Lの自然吸気エンジンが設定され、従来の3.6L V6はオプション設定となりました(SLT-2、Denaliは標準)。組み合わせられるトランスミッションは当初6速オートマチックでしたが、2020年の大幅改良では新開発の9速オートマチックに変更されています。
トレーラーの牽引など使い方をしないユーザーからは2.5Lエンジン採用による省燃費化、車両価格の低価格化が歓迎されたようですが、V6エンジンに比較してパワーやフィーリングがやや劣るため、ドライブフィールやエンジンパワーを必要とするユーザーのために、オプションでV6エンジンを選択できるように配慮されていました。
【ユーティリティ】一部グレードに4G LTEの車内通信環境やタッチディスプレイ式のオーディオ、ナビゲーションを採用。また、アナログスイッチ採用でエアコンやオーディオの直感的操作性の確保等、ユーザーの使い勝手に配慮したインパネが評価を得ています。一方で、初代アカディア登場以降、新たに登場した類似構造のフルサイズ3列SUV(フォード・エクスプローラー、トヨタ・ハイランダー等)のライバルたちに比べて3列目シートの居住性やラゲッジスペースの容量不足が指摘されていたようです。ただし、3列目を緊急用と割り切って畳んでしまえばラゲッジスペースはクラストップのスペースが確保され、ミッドクラスのライバルに対しては十分な余裕がありました。
【アップデート】2020年モデルで大幅改良が施され、内外装意匠の一新、新開発の2.0Lダウンサイジングターボエンジンの採用。さらには本格的なオフロード走行や週末のアクティブな使い方に応えるGMCの新シリーズ「AT4」グレードをアカディアにも新設定しました。「AT4」では内外装の各部にブラックのアクセントガーニッシュを施し、専用のAWDシステム、オールテレーンタイヤ、ヒルディセントコントロール、ヒルホールドアシストを標準装備。オフロード走行に適したチューニングが施されたモデルとなっていました。本改良により、従来のアカディアのグレード構成は以下のようになりました。
- 「SL」「SLE」「SLT」・・・日常使いに適したハイコスパの標準グレード
- デナリ・・・所有感を満たす高級志向のプレミアムグレード
- AT4・・・街乗りとアクティブな週末を両立するオフロードグレード
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